皆さま、こんにちは!
新造船「栄希」は進水を終え、現在は就航に向けて船内の艤装工事が進められています
「船の中ってどうなっているんだろう
」
「貨物はどこに積むの
」
「船はどうやって曲がるの
」
普段、船に関わる機会がない方にとっては、なかなか見ることのできない世界かもしれません
そこで今回は、建造中の「栄希」の写真とともに、ホールド・ホールド右舷側通路・操舵機・食堂(サロン)をご紹介します。
完成すると見え方が大きく変わってしまう場所もありますので、まさに今しか見ることのできない船内の姿です
船の“大きな倉庫”「ホールド」

まずご紹介するのは、船の中でも特に大きな空間であるホールドです。
ホールドとは、簡単にいうと、船で運ぶ荷物を積み込むための大きな倉庫のような場所です
貨物船は、このホールドにさまざまな貨物を積み、港から港へ運びます

陸上のトラックでいう「荷台」に近い役割ですが、船の場合は非常に大きな空間になっています。
上から見ると大きな箱のようにも見えますが、船にとっては「荷物を運ぶ」という本来の仕事を担う、とても重要な場所です。
栄希でも、このホールドに貨物を積んで各地を航海していくことになります。
今しか見られない「錆止め塗装」の途中

今回の写真でぜひ見ていただきたいのが、ホールドの錆止め塗装です。
船は主に鉄でできています。
そして船は、海水や潮風、湿気など、鉄にとって非常に錆びやすい環境の中で使用されます。
そのため、船を長く安全に使用していくうえで、錆から船体を守ることは非常に重要です
そこで塗られるのが、錆止めのための塗料です。
今回の写真を見ると、まだ作業前の部分と、錆止めが塗られた部分の違いを見ることができます。
船が完成すると、その上からさらに塗装が施され、きれいに仕上げられていきます
つまり、この状態を見ることができるのは建造中の今だけ。
完成した船だけを見ていると分かりませんが、その下にはこうした一つひとつの工程があります。
華やかな進水式や完成した船の姿だけではなく、見えなくなる部分まで丁寧に仕上げていくことも、船づくりの大切な工程のひとつです
「右舷」ってどっち? ホールド右舷側通路

続いては、ホールド右舷側通路です。
船では、「右」「左」という言い方の代わりに、
右舷(うげん)
左舷(さげん)
という言葉をよく使います。
船首、つまり船の進む方向を向いたときの右側が「右舷」、左側が「左舷」です。
なぜわざわざ右舷・左舷という言葉を使うのかというと、船の上では人がさまざまな方向を向いて仕事をします。
単に「右」と言ってしまうと、「誰から見て右?」となってしまいます。
そこで、船の進行方向を基準にして右舷・左舷と呼ぶことで、乗組員同士が同じ認識を持てるようになっています。
今回の写真は、そのホールドの右舷側にある通路です。

船内には、乗組員が移動したり、機器や船体の状態を確認したり、点検・整備を行ったりするための通路があります。
普段はあまり注目されない場所ですが、乗組員が安全に船内を移動し、船を管理していくために欠かせないスペースです。
船はどうやって曲がる?「操舵機」

続いてご紹介するのが、操舵機(そうだき)です。
「船のハンドルを回せば船が曲がる」というイメージを持っている方も多いと思います。
もちろん船橋、いわゆるブリッジには船を操縦するためのハンドルがあります。
ですが、実際に船の進む方向を変えているのは、船尾に取り付けられている舵(かじ)です。
そして、その大きな舵を動かすための装置が操舵機です
ブリッジで操船する人がハンドルを操作すると、その指令が操舵装置へ送られます
その指示を受けて操舵機が動き、船尾にある舵の向きを変えます。
舵の向きが変わることで、水の流れが変わり、船の進む方向も変わっていきます。
自動車でいうと、ハンドルを切ったときにタイヤの向きを変える仕組みに少し似ています。
ただし、船は海の上を動く非常に大きな乗り物です。
そのため、大きな舵を確実に動かすためには強い力が必要になります。

操舵機は、普段お客様の目に触れるような設備ではありませんが、船を安全に操船するための非常に重要な設備のひとつです
乗組員の生活を支える「食堂(サロン)」

貨物船は、荷物を運ぶだけの場所ではありません。
乗組員にとっては、仕事をする場所であると同時に、一定期間(40日間)生活する場所でもあります。
そこで大切になるのが、今回ご紹介する食堂(サロン)です
食堂という名前の通り、乗組員が食事をする場所ですが、それだけではありません。
仕事の合間に休憩をしたり、乗組員同士で会話をしたり、航海を終えたあとにゆっくり過ごしたりする場所でもあります
イメージとしては、船の中のダイニング兼リビングのような場所です。
船の仕事では、乗組員が同じ船の中で長い時間を一緒に過ごします。
だからこそ、仕事をする場所だけでなく、落ち着いて食事や休憩ができる生活空間もとても大切です
現在はまだ工事途中で、家具や設備などもすべて揃っているわけではありません。
これからテーブルや椅子、そのほかの設備が入り、少しずつ乗組員が生活する空間へと仕上がっていきます。
完成後のきれいな食堂も楽しみですが、何もない状態から少しずつ完成していく姿を見ることができるのも、新造船建造ならではです
「船」だけではなく「職場」であり「生活の場所」
今回ご紹介しただけでも、
荷物を積むホールド。
船内を移動するための通路。
船の舵を動かす操舵機。
乗組員が過ごす食堂(サロン)。
それぞれまったく違う役割があります。
船というと、外から見た大きな船体や、船橋、エンジンなどをイメージする方が多いかもしれません。
しかし実際には、その内部に数多くの設備や部屋、通路があり、それぞれが役割を果たすことで一隻の船が成り立っています
そして乗組員にとって船は、単なる仕事道具ではありません。
仕事をし、食事をし、休み、仲間と過ごす。
職場であり、生活の場所でもあります。
少しずつ設備が入り、塗装が進み、何もなかった空間が「船として使われる場所」へと変わっていく。
そのひとつひとつの工程を見られるのも、今だけです。
新造船「栄希」は、今日も完成へ向けて少しずつ前へ進んでいます

完成してしまえば見ることのできない建造途中の姿も含めて、これからも「栄希ができるまで」を皆さまにお届けしていきたいと思います。
普段船に馴染みのない方にも、
「船の中ってこんな風になっているんだ」
と少しでも興味を持っていただければ嬉しいです
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